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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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 その商店の軒先の下に入って、ガァ子は気付くのだった。
 なぜこの店には人がいない?
 ガァ子が周囲を見回す。
 雨が降っているとは言え、人の姿が見えなくなるような時間ではない。それどころかまだ夕方。これから夕飯を食べる家も多いだろう。もちろん買い物をする人だっているはずだった。
 なのに……人の姿が全く見えないのだ。
 花魄は人の情念から生まれる。様々な情念があるように、その情念を受ける花魄は容姿こそ同じだが、様々な能力を持って生まれる。
 これも花魄の一つの能力なのかも知れない。そして花魄は一体でない事をガァ子たちは知っていた。
「あの、どうしたんですか?ガァ子ちゃん」
 だがしかし、沙夜子は周囲の様子に全く気付いていない。それが沙夜子らしいと言えば、らしいのだが……
 そしてガァ子はその沙夜子の頭をガッガッと突くのだった。

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