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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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「でもガァ子ちゃん。花魄の目的は何なんでしょう?花魄が仲間を求めるように人を死に追いやるのは分かりますけど、何故こうも回りくどいんですか?」
 沙夜子の質問はもっともの事だった。
 花魄の目的が人を殺す事なら、あの彼女はもっと早い段階で殺されていたはず。何故すぐに殺さず取り憑くような事をしていたのか?
「ふむ。よくそこに気付いた……と言ってやりたいが勉強不足でもあるのじゃ」
「は、はぁ、ごめんなさい」
「植物に必要なモノは何なのじゃ?」
「え、えっと、植物ですか?光と……水……ですか?」
「うむ。それともう一つ養分じゃ。花魄は負の感情から生まれし物の怪。その養分は負の感情なんじゃよ」
「じゃあ、花魄が人に取り付くのは養分として負の感情を必要としているからですか?」
「そうじゃな。人から負の感情、養分を吸い、やがて花を咲かせる……つまり花を咲かせる事、それが人を殺すという事じゃな」
「彼女が負の感情を持っていたから取り憑かれた……って事でしょうか?」
「負の感情など誰でも持っておる。わしもお前もな。あやつが憑かれたのはたまたま花魄の本がそこにあったからじゃ」
 と言いながらガァ子は決意していた。沙夜子にはもっときつい教育が必要じゃな、と。
 沙夜子の、なるほど〜、という顔を見て強く思うのだった。

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