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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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「じゃが……所詮は遠野霊異記の敵では無いわ。沙夜子!!」
「はいっ!!」
「遠野霊異記を持て!!」
「えっ!!?」
「どうした!!?遠野霊異記じゃ!!いつも持っているように言っておるじゃろ!!」
「え、あ、あの、そ、それは……」
 沙夜子の引き攣った笑い。
 汗をダラダラと流している。様子を見るに冷や汗だろうか……
「どうした沙夜子!!?早くするのじゃ!!」
「え、えっと、その、そのですね……それは……ほら……」
「まさかお前、忘れたわけじゃあるまいな!!」
 青ざめる沙夜子。
 遠野霊異記……その本は物の怪に対抗出来る強力な武器。
 だからこそ沙夜子は常にそれを持ち歩かねばならない。なのに……
「わ、忘れたんじゃなくて……ちょ、ちょっとした手違いで……」
「言い訳をするでない!!」
 ガァ子は懐から一冊の本を取り出し、沙夜子の頭をド突く。
 バゴンッ!!
「アイタッ!!」
「ほら、遠野霊異記じゃ」
「う、うう……ガァ子ちゃん、意地悪ですぅ……」
「たくっ」
 ガァ子は呆れたように大きくため息を吐いた。

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